いぬころびとのざれごと

犬ころのごとく生きる男が弄り徘徊しながら発する言葉。

またまた 詩をかく

同心円

 

今朝、小雨のなかを 歩いていた

真っ直ぐに続く道と 等間隔の街路樹と

蟻の行列のような通勤者を眺めながら

歩いていた

 

歩道の水たまりに 雨が落ちている

同心円が いくつも いくつも できては消え

できては消えて いる

 

どれも どれも 正確な円を描いている

不思議だ とても不思議だ

乱れなく 律儀に 執拗に

円は ひたすらに

消えては あらわれ

あらわれては 消えて いる

 

しばらく それを見ていた私は 

苛立ちのようなものを 覚え

そして 憎しみをさえ 

抱きはじめていた